ぷにっとありがたい日々

何事にも感謝をする毎日。

怪しいサイキック

ある映画に、
怪しいサイキックのおばちゃんが出てきた。

サイキックとは、
霊能のある人とか超能力者という意味だ。

映画の中で
怪しい役回りをこなしていた。

そこで思い出した苦い経験。

こんな誰が見ても怪しい人に私は
引っかかったことがあるのだ。

アメリカの道路沿いにあるサイキックは
大体怪しい。

今でさえ
”大体怪しい”と言える私だが
当時はひどい失恋をした直後。

わらをも掴む思いで
頼れるものは
何にでも頼りたかった。

今でさえ、
そんな道沿いに
派手に看板を出しているサイキックは
ほぼ100%怪しいと思えるのだが、

人は自分を見失っている時
本当に怪しいことが
怪しい、と言えなくなるものだ。

そこに答えあって
助けてもらえるような気がして
訪ねてみた。

もちろん
色々こちらの身の上話をすることとなる。

意外にも”真摯に助けてあげたい”
という雰囲気ではなくなんとなくうわの空。

こちらはただただ細かく話したほうが
伝わる気がしたものだから、
相手がそんなに
聞きたいと思っている風でもないのに
失恋の様子を事細かに話した。

今思えばここが危ないんだろうけれど、
向こうからすればこちらがどれくらい
参ってしまっているか、
困ってしまっているかが
一目瞭然。

するとそのサイキックは
突然、

「あなたの銀行口座にいくら入ってるの?」

と聞いてくる。

その唐突なお金の話に、
私の頭に「!」マークがついた。
いくら精神的に参っていたとは言え、
なぜにいきなりお金の話。

それも全財産。

頼みの綱のサイキックとは言え、
いくらなんでも
会ったばかりの他人に
全財産がいくらかなんて言えない。

しどろもどろになりながらも

「最近銀行口座は確認していないから
実はいくらあるか分からない。」

お茶を濁す

するとそのサイキックは

「今度来るとき、銀行口座から
全部お金を下ろして持ってきなさい。
それをお供えして厄を払うから。」

そこで怪しいと思って
二度と行かなければよいものを、

当時の私は厄が払えるなら、
という思いでいっぱい。

なんとまたそのサイキックの

ところに戻ったのだ。

さすがに全財産には抵抗があったので
200ドル(約2万円)だけ持って。

しかしそれでも当時の私にしては
かなりの金額だった。

失礼にもそのサイキックは
「本当にこれだけ?」
と不服そうだったが
儀式をするという。

全財産ではない金額を持っていた私は
何を考えていたかと言うと

”本当は全財産はそれだけじゃないから、
厄が払えなかったらどうしよう”

とびくびくしていたのだ。

精神が落ち込んでいるときというのは
真っ当な判断ができなくて恐ろしいものだ。

そんな私のドキドキびくびくした気持ちなど
サイキックはまるで気にしておらず、

ただただ差し出された金額の少なさに
イライラしているようだった。

私からお札を受け取ると
それをまず細く巻き、

その上から
糸でぐるぐる巻きにして
”ほこら”に入れた。

「これで厄が払えました」

その瞬間、

”もうこのお金はこのほこらから出てこない。

間違っても

全財産を真面目に出さなくてよかった!”

と感じ、

一目散にサイキックの家から逃げ帰った。

実際にそれで厄がはらえたのか
はらえなかったのかも
わからない。

しかし、
サイキックがほこらにお金を入れた瞬間に
自分の判断力が
それまで異常だったことに気づいた。

まるで
雷が落ちたように
その瞬間がはっきりとわかった。

そして、もう二度とこのサイキックの
ところを訪れたくなかったし、
その顔も見たくなかった。

でもその後は
色々なことが好転しだして
結婚も出産もしたと思えば
あのサイキックは有能だったのかもしれない。

ただ、
全財産を出せというのは・・・。


とにかく

 

どうもありがとう。