婚活での必須検査項目ー酒乱検査の巻 その3

そんな彼に支払い能力は
ないとみなし、

私は自分のハンドバッグを
掴むと、一階に降りていき
お会計を頼んだ。

するとベロンベロンの
彼がゲロだらけのまま
階段を降りてくるではないか。

支払いをしようとしていた
私の手を押しのけて、

また

「バカにしてんのか！？」

と、からみつつ
真っ直ぐに立つことも
できずにフラフラしたまま。

それでも自分の財布から
一万円札を出し、
店員さんの顔の前で

俺の札を取れ、と
言わんばかりに
ちらつかしていた。


強引にお金を渡そうと
してくる彼に

その女性の店員さんも
面食らっていた。

しかも、
一万円では足りないのだ。

私はサッと
彼の一万円札を取ると、
自分が持っていた一万円札と
一緒に店員さんに渡すと、

“この変な男は
彼でも何でもないです“

という雰囲気を全力で
その店員さんに伝えて

まだフラフラと
佇んでいる酒乱の彼が
出てきたお釣りに

面食らっている間に
私は外に出た。

そして彼がそれ以上
追いかけてこないように
偶然目の前に止まった
タクシーに乗りこむと

逃げるように
その場を去った。



後日、
何回か彼から
電話があったが
出なかった。

酌量の余地なし。

いかなる理由があろうとも
お酒を飲んで
人が変わってしまったのだから
ダメだ。


何年かして
その彼が結婚したと
風の噂で聞いた。


奥さんになった人は
彼が酒乱だということを
知っているのだろうか。


第一にそんな考えが浮かんだ。


だから結婚の可能性が
少しでもある相手には

色々検査をしかけて
みたら良いと思う。

私が生きてきた限り、
酒に飲まれて

ここまで変わってしまった例は
後にも先にも
この人しかいない。

本当に貴重な
経験だった。

どうもありがとう。